ショートショートドロップス

「ある朝やってきたベビーシッターはぬいぐるみ!?アルバイトで着ぐるみのウサギの頭をかぶると不思議なものが見えて……。短くて、すらすら読めて、面白さ太鼓判!とびきりのお話を新井素子が厳選。いろんな味が詰まったドロップの缶詰のように、ときめきや切なさ、驚きに怖さも、読み心地さまざまな15の物語。ものの数分で非日常の世界へと連れて行ってくれる、超・豪華執筆陣による極上ショートショート・アンソロジー。」

引用:新井素子編 「ショートショートドロップス」 角川文庫 裏表紙より

ネタバレありです。ご注意ください。

新井素子さん選出の女性作家によるショートショート集です。約3年の月日をかけて編まれたというこのショートショート集は、計15名の作家の作品を楽しめ、お得感があります。本屋さんで物色していると、かわいいイラストのカバーを発見し、ちらっと見てみると、三浦しをんさん、村田沙耶香さん、恩田陸さんの私的三銃士が揃っており即決で購入しました。

しかし、なぜかてっきりこの本は恋愛短編集だと思い込んでいたのですが、読んでみると恋愛要素はほとんどなく、「ショートショート」には絞っているが、ジャンルは様々で「ごった煮」という感じです。しいていえばSFかSFでないかで分かれるかもしれません。個人的にSFものは初めてだったので、中々読むのに苦労しました。今までの人生で通ってきたSFといえば、「ガンダムSEED」一択なので、こんな感じかしら…と「ガンダムSEED」の世界観をもとに想像してみて、上手くいったりいかなかったり…。これ、一番相性が良いと思ったのは萩尾さんのショートショートです。ラララ。

私はこの短編集に収録されている半数以上の作家さんが初読みで、どれも新鮮な気持ちで読みましたが、印象に残っているのは村田さんのショートショート「余命」です。実はこの作品が収録されている村田さんの短編集「殺人出産」は読了しており、「余命」もすでに読んでいる作品でした。村田さんの強烈な世界観のインパクトと、胸にもやがかかる後味が、このショートショート集のなかでも異彩を放っており、最高でした(余談ですが、村田さんの作品をいくつか積読しているので、手を出すなら今かな…という気持ちになりました)。

「ショート」ではなく「ショートショート」ということで、数分~数十分で読み切れる作品ばかりです。ちょっとした隙間時間でもまるっと一つのお話を楽しめるのはおすすめポイントですが、個人的には難しいなと感じるお話もあり、短時間で読めるから初心者向きかと言われると難しいのではと思います。

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