ロミオとロミオは永遠に

「日本人だけが地球に居残り、膨大な化学物質や産業廃棄物の処理に従事する近未来。エリートへの道は唯一、「大東京学園」の卒業総代になることであった。しかし、苛酷な入学試験レースをくぐりぬけたアキラとシゲルを待ち受けていたのは、前世紀サブカルチャーの歪んだ遺物と、閉ざされた未来への絶望が支配するキャンパスだった。やがて最下級の「新宿」クラスと接触したアキラは、学園の驚くべき秘密を目にするが……。」

「「大東京学園」の存在意義に疑問を感じはじめたアキラは、何者かの計略により「新宿」クラスへと降格になってしまう。そこでは、リーダーのシマバラはじめ13人の生徒たちが、学園からの脱走計画に命を燃やしていた。一方、肉親の死に絶望し、20世紀への思慕を募らせるシゲル。それぞれの想いが交錯するなか、学園最大のイベント「大東京オリンピック」の開催日にして、”脱走の特異日”である10月10日が迫っていた。」

引用:恩田陸 「ロミオとロミオは永遠に[ 上]、[下]」 ハヤカワ文庫 裏表紙より

ネタバレありです。ご注意ください。

新年一冊目は恩田さんの「ロミオとロミオは永遠に」にしました(尚、現在GW真っ只中)。私の好きな学園ものだったし、上下巻に分かれててそこそこボリュームもあったから、まとまった休みに読むにはちょうどいいかなと思って。でもこれが、全然ちょうどよくなかった。

理不尽極まれり

アキラが闇落ち(と言っていいのか…)する前の、ザ主人公してたあたりまではすいすい読めたけど、学校側の仕打ちがあまりにも胸糞悪くて、途中からムカムカしてたまらなかった。怪我をするなんて生易しいもんじゃなく、足や手を失ったり命を落としたりなんてことが日常茶飯事の学校生活で、もう腹が立つったらありゃしない!

物語の主要メンバーである新宿クラスの面々に対してもわだかまりがある。彼らは、新宿クラスに仲間入りしたアキラには親切だったし、学校側ほど悪い奴らじゃないかもしれないけど、ドッジボールで一人の少年を囲って爆弾ぶっ放すようなことをする奴らではあるので、味方も理解も感情移入も出来ない。アキラ、、、本当にこんな奴らの言うこと信じていいんかよ、、、イカれた学校での日々で頭おかしくなっちまったんか、、、おいおい、となり、主人公アキラのこともイマイチ応援出来ない。

極めつけに物語の終盤は死人ラッシュで、もうおいおいどころではない。ここはジャンプよろしく全員で抜け出そうぜ!!絶対死んだと思った少年たちも実は生きてました!で全然良いよ!!何にも問題ないよ!!!むしろそれ希望!!!!!新宿クラスのメンバーにはわだかりもあったけど、それでも生きてほしい!!と思いながら読んでいたので、当然終わり方も腑に落ちない。あの後絶対大惨事でしょ。タダノ大暴走でしょ。

アキラとシゲルが二人揃って脱走成功できたのはもう涙が出るほど嬉しい、中継見てたらスタンディングオベーションしてたと思うくらい嬉しい。でもそれを手放しで喜ぶにはあまりにも人が亡くなっているし、残った学生たちのことを思うと、あまりにも苛酷な未来しか想像出来なくて、やるせない気持ちの方が勝ってしまった。

その他

  • 恩田作品には珍しく女性がほぼ出てこない。私が今まで読んだ中ではネバーランドぐらいかな。
  • タイトルが「ロミオとロミオは永遠に」ということも相まって、世界名作劇場の「ロミオの青い空」を彷彿とさせる。登場人物のアキラ(好青年っぽい)とシゲル(美少年)がロミオ(好青年)とアルフレド(美少年)とも被るし、頭の中でロミオとアルフレドのビジュアルでストーリーが展開されるのも仕方なし。
  • しつこいですが、私、シンメ厨なんですよ。そんで、この本読みながら気付いたんだけど、気の強い美人(男女問わず)が大好きでもある。あと生命力のある美人も好き。この趣向いつからなんだろうか。恩田さんの作品読むようになってからの可能性もあるな。
  • 巻末の「20世紀サブカルチャー用語大辞典」は分からないなりに、読んでてとても楽しかった。このサブカルたちの意味が分かって、実際に体感していたら何倍も楽しく読めたんだろうなぁ。無念。
  • 余談:用語大辞典を読んで、ちらっと検索したAKIRAの登場人物の声がすかちゃんと光流で、ひぃっ!!!!!(嬉)となった。グリーン・ウッドより前に共演してたんだなぁ。思わぬ嬉しい発見。
Thanks!
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